「ロブ、気を付けろよ。
 そいつが最後の一個なんだからな。」

「それくらい分かってるさ。
 ちょっと静かにしてくれ!」

細い枝の先の先のほうに、とても旨そうなリンゴが成っている。
ロブが木に登り、ダルがハラハラしながら見守っている。

「これは、俺とお前だけの秘密の木だ。
 今年は何とか3個食べられた。でも、もう最後だ。
 こんな旨い物ないよなあ。ああ、よだれが出る。」

「静かにしろって言ってるだろっ!
 よだれを垂らすのは、こいつをうまく取ってからだ。」

「しかし、神様は罪な事をしたもんだよな。
 旨くて知恵を得られる木の実なのに、誰でも食べられる訳じゃないんだから。」


                     つづく